一年振りに奥羽山脈に入った
- Akira KUMAGAI
- 2020年11月2日
- 読了時間: 4分



コロナ騒動が起きたりして様々な社会事情の変化があり、この8年間整備している奥羽山脈の山林に行くことができなくて、寂しい思いをしていたが、11月1日に仲間と一年振りに該当する山林に出かけた。朝9時に集合し、御嶽山・黒森山登山口まで軽トラックで移動し山に入った。登山口は標高200メートルほどであるが、既に紅葉が始まっていた。今年は山道の手入れを一度もやっていなかったので、山道を通れるか不安であったが、案ずるより産むが易しで難なく歩くことができた。例年であれば雪害のため、道を遮断している倒木が数か所に見られるが、今年は雪が少なかったために倒木は一本も無い。上り始めて20分もしない場所で、ヤマドリかキジの羽が路上にあった。(写真)しかも、相次いで二箇所もあった。そこで一羽丸々の羽をむしったと思われる量の羽があり、肉や骨は全然なかった。下手人は動物に違いないが、どの動物かは同定できなかった。いままでこのような跡を山中で見掛けたことがなかった。そこから30分ほど登った杉林で、もの前の方からバリバリバリという大きな音がした。「あっ、くまだ」と先頭の仲間がいうので、その方向を見上げたら、大きなクマが急いで高い杉の木の真ん中程から駆け下りている姿が見えた。成獣のクマである。あっという間に、木から降りて山陰に姿を消した。俺たちはあっけにとられて、緊張し、驚いていた。山道でクマに遭遇したことがあったが、目の前の杉の木にいるクマをみたことがなかった。その後、大きな声をだして、クマが近づかないよいうにして、注意深くそこを通り抜けた。クマは木から降りた後山頂の方に移動したようだった。一瞬緊張し、少し怖かったが、クマに出遭えた僥倖に感謝したい気持ちになった。世間では、いまやクマが害獣として、人の敵扱いされているが、その報道や発表に接する度になにか違和感を持ち続けていた。有史以来、この地では人とクマは共生し続けてきたはずである。それがここ十数年間で、急に共生できなくなりつつあるのは、人の勝手で、クマの所為ではないのは自明である。人が山林を、自然環境を変えてきたので、それが何らかの原因になって、彼らクマをこのような状況に追い込んできた、と考えるのが道理だと思っている。
約一時間山を登って、標高400メートルの大持沢に着いた。ここ二年間、地元の小学生、その父兄、有志らと一緒に、野生動物の餌となる実を点ける広葉樹を植林している場所である。約150本ほど植えている。地元では、この植林した場所にイノシシがやって来て、アナボコだらけにしてしまい、植樹した木は全滅しているという噂が蔓延している。そこで、その実情の踏査にやってきたのが我々だった。相変わらず、大持沢は美しかった。紅葉と言い、広く開かれた空間が天空を半分ほど覆い、解放された気分にしてくれる。この地名を熊野平にしようと皆で相談していた処である。噂を半信半疑で聞いていたが、現地を踏査してみたら、植えたじ樹木は皆根付いて順調に育っていた。全員安堵し胸を撫で下ろした。そして、証拠写真を何枚か撮った(写真)。公表し、噂を信じている連中の誤解を解くためである。この地方では、実証主義という言葉とは無縁の人々しか住んでいないようである。噂を流す人の素性と性癖を確かめもせず、善い出来事は信用せずに、凶事は直ちに信じて次の人々に真しなやかに伝えるという伝統文化を保持している。この悪質な噂を流した者は、何を目的として、何のために虚偽のデマを流したのだろうか。理解に苦むと同時に、環境保全、地球温暖化ストップ、自然と親しむという活動を子供たちと一緒に行っている行事に嘘で水を差している悪意、しかも嘘で固める行為に憤りを感じた。ここに植えた樹木は、クリ、ナラ、トチノキ、クヌギ、ブナである。なにはともあれ、皆成長していることを確かめることができた。帰り道は、ムキダケとナメコのキノコを入手し、真っ盛りの紅葉を楽しみながら、心は晴れやかだった。やはり、山はいい。「ふるさとの山に向かいていうことなし、ふるさとの山はありがたきかな」。
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